季節の変わり目、梅雨どきの不調、それ「気象病」かも!?
今日(11日)までに、北は東北地方南部から関東甲信、北陸、東海地方、南は沖縄、奄美、九州南部が梅雨入りしています。
五月下旬に全国を襲った季節はずれの「猛暑」から、今はむしろゾクッとするような「梅雨寒」を感じる方も多いのではないでしょうか。場所によってはエアコンが効きすぎていることもあり、体調管理が難しいときですので十分なご注意をお願いします。
さて、「雨の降る日は天気が悪い」とは、当たり前のことを指すたとえですが、「天気が悪くなると頭痛がする」という人がいらっしゃいます。あるいはご自身がそんな症状を抱えておられるかも知れません。ほかに、「古傷が痛む」「目眩(めまい)がする」「気分が落ち込む」など多くの症状が含まれ、気象・天気と体調の関係は、ごく身近な問題であることが明らかとなっています。
たとえば、一般生活者と慢性疾患患者の約73%が天候や季節変化の体調への影響を経験したことがあるというアンケート調査結果(テルモ、2006)、さらに日常的に『気象病・天気痛』で悩んでいる人の割合は、20歳以上の国民10人に1人という試算もあります。(※1)
※1:S.inoue, et al. Plos One 10(6),2015.
民間伝承と思われていたこれらの症状ですが、近年、科学的な検証が進み、気圧の変化が体調にどのように影響するのか解明されました。(※2)
※2:佐藤純『気象変化による慢性痛悪化のメカニズム』
https://ci.nii.ac.jp/naid/130004432997
それによると、天気による気圧の変化に反応しているのは耳の奥にある“内耳”。
内耳には身体のバランス感覚を保つために外リンパ液と内リンパ液があり、この2つを隔てる膜が気圧センサーになっていると考えられます。このことが感覚的に分かるのが新幹線や飛行機、エレベーター、地下鉄など、速度や高低差により気圧が大きく変わる乗り物です。乗車中、耳に強い痛みを生じ、気分が悪くなることがしばしばあります。これは耳が気圧の変化に敏感に反応している証拠でもあります。
気象病・天気痛とは、内耳の気圧センサーが過剰反応することが原因。
つまり、内耳と近接する脳の自律神経(交感神経と副交感神経)にその乱れが伝わり、頭痛や古傷、持病の痛みを呼び覚ましたり、目眩や気分の落ち込みといった不調を引き起こすと推察されます。この痛みや不調が悪循環し、さらに症状を悪化させていきます。
天候の移り変わりが激しいこの時期、十分に対応できる力を備えましょう。