ほうび茸

ほうび茸

茶色く大きな傘を持ち、優雅で野性味に溢れるこのきのこの名は「ほうび茸」。ヒラタケ科の食用きのこです。褒美茸ではなく「鳳尾茸(中国名:鳳尾菇)」と書きます。
もともとヒマラヤの南山麓で自生しているきのこで、中国大陸に伝わる神話上の吉鳥、「鳳凰」の尾羽根を彷彿させることがその名の由来です。近年、日本でも栽培されるようになりましたが、まだまだ見かけることの少ないきのこです。

生物学的には野生のなかで、ほうび茸は少しずつ色調や形を変えて世界中に見ることが出来ます。西欧系は傘の色が灰色がかり、フランス料理で近縁種のヒラタケとともに「プルロット」の名前で親しまれています。また、日本では「ウスヒラタケ」が、ほうび茸と同種と考えられています。世界各地に広がりながらも根付いた地域の気候風土に合わせて変化し、特有の個性を獲得していくあたりが、きのこの健気さでもあり、奥深いところですね。

そのようなわけで見かけが少しずつ異なることから、正式な学名はこれまで混乱していましたが、現在ではPleurotus pulmonariusで統一されています。
ほうび茸の栽培で難しい点は、野生の条件を再現し、優雅で大きな傘をつくらせること、そして傘や柄に傷をつけず収穫し、丁寧に包装することです。

ともあれ、ほうび茸の特徴は、抜群の美味しさと気品ある香気で、じっくりと時間をかけて乾燥させた『乾燥ほうび茸』もまた絶品です。

1.ほうび茸の栄養成分

ほうび茸は、しいたけやぶなしめじ、まいたけなど他の食用きのこに比べてたんぱく質が多く、ビタミン・ミネラルに富んでいます。

表1. 生きのこ可食部100gあたりの成分

成分 ほうび茸 しいたけ ぶなしめじ まいたけ えのきたけ
水 分  (g) 88.2 91.0 90.8 92.3 88.6
たんぱく質(g) 5.7 3.0 2.7 3.7 2.7
脂 質  (g) 0.6 0.4 0.6 0.7 0.2
炭水化物 (g) 4.6 4.9 5.0 2.7 7.6
灰 分  (g) 0.9 0.7 0.9 0.6 0.9
リ ン  (mg) 170 73 100 130 110
鉄    (mg) 1.1 0.3 0.4 0.5 1.1
ナトリウム(mg) 1.5 2 3 1 2
カリウム (mg) 371 280 380 330 340
ビタミンB1(mg) 0.33 0.10 0.16 0.25 0.24
ビタミンB2(mg) 0.35 0.19 0.16 0.49 0.17
ビタミンD (㎍) 8 2 2 3 1
ナイアシン(mg) 8.7 3.8 6.6 9.1 6.8

成分 ほうび茸
水 分  (g) 88.2
たんぱく質(g) 5.7
脂 質  (g) 0.6
炭水化物 (g) 4.6
灰 分  (g) 0.9
リ ン  (mg) 170
鉄    (mg) 1.1
ナトリウム(mg) 1.5
カリウム (mg) 371
ビタミンB1(mg) 0.33
ビタミンB2(mg) 0.35
ビタミンD (㎍) 8
ナイアシン(mg) 8.7

成分 しいたけ
水 分  (g) 91.0
たんぱく質(g) 3.0
脂 質  (g) 0.4
炭水化物 (g) 4.9
灰 分  (g) 0.7
リ ン  (mg) 73
鉄    (mg) 0.3
ナトリウム(mg) 2
カリウム (mg) 280
ビタミンB1(mg) 0.10
ビタミンB2(mg) 0.19
ビタミンD (㎍) 2
ナイアシン(mg) 3.8

成分 ぶなしめじ
水 分  (g) 90.8
たんぱく質(g) 2.7
脂 質  (g) 0.6
炭水化物 (g) 5.0
灰 分  (g) 0.9
リ ン  (mg) 100
鉄    (mg) 0.4
ナトリウム(mg) 3
カリウム (mg) 380
ビタミンB1(mg) 0.16
ビタミンB2(mg) 0.16
ビタミンD (㎍) 2
ナイアシン(mg) 6.6

成分 まいたけ
水 分  (g) 92.3
たんぱく質(g) 3.7
脂 質  (g) 0.7
炭水化物 (g) 2.7
灰 分  (g) 0.6
リ ン  (mg) 130
鉄    (mg) 0.5
ナトリウム(mg) 1
カリウム (mg) 330
ビタミンB1(mg) 0.25
ビタミンB2(mg) 0.49
ビタミンD (㎍) 3
ナイアシン(mg) 9.1

成分 えのきたけ
水 分  (g) 88.6
たんぱく質(g) 2.7
脂 質  (g) 0.2
炭水化物 (g) 7.6
灰 分  (g) 0.9
リ ン  (mg) 110
鉄    (mg) 1.1
ナトリウム(mg) 2
カリウム (mg) 340
ビタミンB1(mg) 0.24
ビタミンB2(mg) 0.17
ビタミンD (㎍) 1
ナイアシン(mg) 6.8

ほうび茸:一般財団法人 日本食品分析センター(第KS77070104-1号)
しいたけ:女子栄養大学出版部 五訂食品成分表より抜粋

 

2.ほうび茸、その美味しさの秘密

表1からほうび茸は他の食用きのこよりもたんぱく質が多いことがお分かりいただけると思います。たんぱく質の栄養価は、それを構成するアミノ酸の種類と量によって優劣が決まります。アミノ酸のうちでも、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種類は体内でほとんど合成されないうえに、人体にとって必要不可欠なものです。したがってこれら8種類のアミノ酸(必須アミノ酸)は、必ず食物から摂取しなければなりません。またアミノ酸のなかには、うま味・甘味・苦味など、味に関係するものが多くあります。
美味しいきのこの代名詞である「しいたけ」と比べて8種類の必須アミノ酸だけでなく、全18種類のアミノ酸含量においても優れています。グリシン、グルタミン酸などうま味に強く関与するアミノ酸が2倍以上含まれているのです。

表2. 生きのこ可食部100gあたりのアミノ酸含量

アミノ酸の種類 呈味 ほうび茸 しいたけ
◯イソロイシン 無味 170 64
◯ロイシン 微苦味 280 100
◯リジン 温和な甘味 230 94
◯メチオニン 弱苦味 60 24
 シスチン 無味 50 33
◯フェニルアラニン 弱甘味 170 63
 チロシン 無味 140 36
◯スレオニン 微甘味 200 74
◯トリプトファン 微苦味 70 22
◯バリン 微苦味 230 76
 ヒスチジン 微苦味 110 38
 アルギニン 微苦味 250 86
 アラニン 甘味 360 99
 アスパラギン酸 弱甘味 330 130
 グルタミン酸 強うま味 720 320
 グリシン 強甘味 200 76
 プロリン 甘味 160 56
 セリン 微甘味 210 68

ほうび茸:一般財団法人 日本食品分析センター(第KS77070104-2号)
アミノ酸の味:赤堀史郎,金子武夫:日化, 14, 185(1939).
金子武夫:日化, 59, 433(1938).
Berg.C.P.,Physiol.Revs., 33, 145(1953).
しいたけ:女子栄養大学出版部 五訂食品成分表より抜粋

 

苦手な人は苦手であろうきのこ特有の強いくせがなく、うま味をしっかりと感じとれるほうび茸の優しい味わい。和・洋・中、あらゆるお料理に合い、煮ても形くずれしませんので、その調理法は創意工夫でどんどん広がります。
美味しくてカラダに良いきのことして自信を持っておすすめできるきのこ、ほうび茸。煮物、焼き物、汁物、揚げ物に。ぜひ一度お召し上がりください。

 

アイ・エム・ビー(iMb)では長年培ってきたきのこ栽培技術を活かして、さまざまな面からきのこを研究し、皆さまの健康維持のお役に立てるよう日々努力を重ねています。保存性がよく、使いやすい『乾燥ほうび茸』の販売も行っておりますので、こちらよりお気軽にお問い合わせください。